20130914


記事内にお知らせを入れると、新しい記事を書いたら下がってしまうのがいやだったので、ヘッダの下にお知らせ欄を作りました。
まあ、ブログ内でお知らせしたところでどれほどの効果があるかわかりませんが(と、悲観的なことを書いてみたりして)。

さて、ここからが本題。
突然ですが『大正時代の身の上相談』という名著がございます。



大正時代の読売新聞内の相談記事を拾ってカタログハウス編集部がコメントをつけた本で、当時わたしは本を書いていなかったけど目のつけどころの良さに「やられたなー」と思ったものでした。
カタログハウスという会社もちょっと変わっていて、通販事業がメインなのにカタログの読み物がとても充実している。
後に制作部(デザイン)に入社して半年だけいたことがありますが、読み物編集部には独特の自由な雰囲気がありました。
クライアントがおらず、どこにも気兼せずに書ける数少ない媒体ということもありましょう。
猫の写真に台詞をつけた『ネコマンガ』 や変な発明品をとりあげた『仰天珍道具事典』『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』など珍しい企画は数知れず。
そのなかでも『大正時代の身の上相談』は折に触れて見返す愛読書でした。
ところが先日、アマゾンを見ていたら『明治時代の人生相談』 という本を発見。



興味が湧いてすぐに取り寄せました。
そしてううーむと唸ったのであります。
『大正時代〜』が記事を拾ったのは読売新聞ですが、『明治時代〜』は都新聞や「女学世界」「女学雑誌」「いらつめ」 といった雑誌から拾っている。
なので、どうしても相談内容にばらつきが出る。
女学生のための雑誌で女学生がする相談と婦人や丁稚も読む新聞でする相談ではおのずとカラーが変わってくる。
さらに、明治時代の風俗や思想が現代とかなり違うので、時代背景の説明がおもになる。
ソース抽出問題と、背景解説問題は誰が書いてもそうなるんだけど、どうしてもスピード感が失われてしまうんですね。
その意味で、大正時代というのは実に素晴らしいチョイス。
風俗も人心も現代に近づいているので知識の有無を問わず、楽しめる。
『大正時代の身の上相談』の珍しいところは、こういうレトロ企画にありがちな解説がほとんどない。
編集部のコメントは相談内容への現代目線のツッコミにのみ終始しているところなのです。
現代目線すぎて、文庫解説の小谷野敦氏の指摘通り間違った解釈に基づくコメントもいくつかあるけれどそれを抜きにしても、大正時代に確かに我々と同じような考えの人々が生きていたんだというコンセプトをストレスなしに読めるのはひとえに企画の勝利だとあらためて思った次第であります。

ここで少し、それぞれから気になる相談をば。
明治時代の相談では
・愛犬(高価な洋犬)を村の金持ちの倅に食べられた。
・ハンケチによる男女会話の方法を問う。
・親戚の家の妻が小間物店裏口から覗き見する。
・学校で教わった「三太九郎」なる人物を子供が心待ちにしているが誰なのか(サンタクロースのもよう)
・妊娠したら夫の妾に水銀を飲まされた。

大正時代の相談では
・女飛行家になりたい。
・二人の女性と婚約してしまった。
・夫がみだらなことばかり言う。
・突如潔癖性になり、植木まで消毒する妻。
・村の祭りの会費を頑に払わず「強いて欲しければ訴えて公売処分でも財産差し押さえでもするように言え」という夫。

こうして並べてみると、やはり圧倒的に大正時代の悩みは今に近いですね。