20111117
以前、某同人誌に「チャタレイ夫人とエマニュエル夫人の婚礼」という文章を書いたことがある。
お世辞にもいい出来とは言えず、関係者にはいまだ申し訳なく思っているが、プロットに関してはかなり思い入れがあり、時間を見つけてきちんとしたものにまとめたいと思っている。
内容はこうだ。
ジュネーブの国際会議場に続々集まる時代も人種もバラバラな女性たち。
彼女たちの共通項は「夫人」と名のつく小説の主人公ということ。
一九一〇年に「夫人」の自由と平等のためにたたかうとして提唱された「国際婦人年」ならぬ「国際夫人年」から一〇〇年目にあたる今年、小説の主人公による前代未聞の円卓会議が始まるのだ。
自らの性格や設定や思想を背負いながら、家族関係、夫婦関係、貞操観念、エロスについて大いに語り始める……。
小説の主人公を借りながら、女性の生き方を探るメタフィクション(大げさ!)。
「〜夫人」と名のつく小説(の主人公)は多い。
有名どころでは、チャタレイ夫人、エマニュエル夫人、ボヴァリー夫人、ダロウェイ夫人、ドルジェル伯夫人(『ドルジェル伯の舞踏会』)、ウィンダミア卿夫人(『ウィンダミア卿夫人の扇』)、マダム・エドワルダ……
国内に目を転じてみれば、武蔵野夫人、鎌倉夫人、湘南夫人、芦屋夫人、自由が丘夫人などの地名+夫人もあれば、黄昏夫人、感傷夫人、憂愁夫人、幻想夫人と抽象名詞+夫人もあり。
夫の階級を示す大佐夫人、公爵夫人があるかと思えば、檸檬夫人、黒薔薇夫人、虹夫人、真珠夫人、更紗夫人、土曜夫人などロマンティックなものまでと幅広い。
共通するのは非日常的で秘密めかした感じだろうか。
「夫人」はそのまま人妻の意味だが、文学上の「夫人」には、奥の間に大事にかくまわれていて、滅多に表に出て来ない雰囲気がある。
間違っても自転車の前と後ろに子供を乗せて、髪を振り乱してスーパーに向うイメージではない。
夫が亡くなって働きに出る展開も大いにありうるが、だとしてもせいぜい会員制バーのマダムだろうか。
『昼顔』のように高級人妻売春という手もあるかも。
いずれにしても俗世間とは一線を画した感のある「夫人」たち、エポックメイキングな作品も多いし、エロとの親和性も高く、発禁本も多い。
チャタレイ夫人、エマニュエル夫人はもちろん、ボヴァリー夫人も発表から一年で本国で発禁になり(後に無罪獲得)、日本でも1916年(大正5年)に出た初の完訳が発禁になっている。
戦後初の発禁本はカストリ雑誌に連載されていた『H大佐夫人』で、『其の後のH大佐夫人』というのもあるらしいが、まだ読めていない。
探すと大量にある「夫人文学」(「婦」人ではない)のポテンシャルは計り知れない。
これからも注目していきたい。
【今のところ判明している夫人文学】(順不同)
『チャタレイ夫人の恋人』 D.H.ロレンス
『エマニエル夫人』 エマニエル・アルサン
『ボヴァリー夫人』フロベール
『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ
『ドルジェル伯の舞踏会』レイモン・ラディゲ
『ウィンダミア卿夫人の扇』オスカー・ワイルド
『マダム・エドワルダ』ジョルジュ・バタイユ
『H大佐夫人』『其の後のH大佐夫人』北川千代三
『武蔵野夫人』大岡昇平
『真珠夫人』菊池寛
『黄昏夫人』佐藤愛子
『黒薔薇夫人』団鬼六
『男爵夫人カルラ』M・ネスビット
『シャルビューク夫人の肖像』ジェフリー・フォード
『ストーン夫人のローマの春』テネシー・ウィリアムズ
『湘南夫人』井上友一郎
『沢夫人の貞節』由起しげ子
『檸檬夫人』団鬼六
『大佐夫人の従妹たち』モオパッサン
『感傷夫人』伊藤整
『巴里夫人 巴里に死す』
『真珠夫人』菊池寛
『駒鳥夫人』菊田一夫
『幻想夫人』団鬼六
『土曜夫人』織田作之助
「芦屋夫人』丸尾長顕
『虹夫人』森本ヤス子
『マギンティ夫人は死んだ』アガサ・クリスティー
『ぼくのヴィヴィエ夫人』ユーゴ・ソレンツァ
『メグレ夫人の恋人 メグレ警部シリーズ』シムノン
『マンク夫人』エラ・レフランド
『最高殊勲夫人』源氏鶏太
『ハリス夫人パリへ行く』
『名探偵ホームズ 覆面夫人』コナン・ドイル
『カサマシマ公爵夫人』ジェイムズ
『自由ヶ丘夫人』武田繁太郎
『失踪夫人』J.-H.ロスニイ
『ジリアン夫人』ペネロープ・アッシュ
『更紗夫人』有吉佐和子
『霧子夫人行状』舟橋聖一
『サド公爵夫人」三島由紀夫
『憂愁夫人』ズーデルマン
『O侯爵夫人』クライスト
『麗子夫人』小栗風葉
『内灘夫人』五木寛之
『鎌倉夫人』立原正秋
『加納大尉夫人』佐藤愛子
20111102
ラッピングペーパーというものを使わなくなった。
プレゼントは、買った店できれいに包装してくれるからだ。
というわけで、ビニールに包まれてほこりをかぶっていたペーパーを、先日一念発起して封筒に仕立ててみた。
「いせ辰」で買った江戸千代紙も出てきたので、それらも仕立てた。
楽しくなってきたので、今日はコラージュなどの材料にととっておいた雑誌のページを仕立てた。
どんどん作って止まらなくなって、1日で100枚超仕立てた。
今日はそれだけで終わってしまった。
仕立てたものの一部。
宛名はシールを貼って書くか。
雑誌のページなので、中にも写真があるのが面白い。
ものによっては意外な組み合わせも。
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プレゼントは、買った店できれいに包装してくれるからだ。
というわけで、ビニールに包まれてほこりをかぶっていたペーパーを、先日一念発起して封筒に仕立ててみた。
「いせ辰」で買った江戸千代紙も出てきたので、それらも仕立てた。
楽しくなってきたので、今日はコラージュなどの材料にととっておいた雑誌のページを仕立てた。
どんどん作って止まらなくなって、1日で100枚超仕立てた。
今日はそれだけで終わってしまった。
仕立てたものの一部。
宛名はシールを貼って書くか。
雑誌のページなので、中にも写真があるのが面白い。
ものによっては意外な組み合わせも。
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