20031219

● ウェブの小説について。ウェブで小説を読むことは、単に内容がわかればいいということではなくて、紙の匂いと本の重さといった可触的な喜びだとかページをめくって読み進むといった自発的な楽しみがかなりの部分を占めている読書体験というものを再認識する存在でしかないと思っていた。と同時にそれは単純に長年の刷り込みで慣れ親しんだものが好きという幼稚な感覚なのかもしれないとも思っていたわけだけど、たとえば90年代初頭には本気で「ウェブの台頭で雑誌の存在があやうくなる!」と騒いだむきもあって、まあたとえばエロ関連とかジャンルによっては実際にダメージがあったのかもしれないけれどともあれ雑誌は増える一方なわけで、わたしなどはやはり雑誌で見るほうがわかりやすいのでなんだか不便だ(ウェブは検索に向いていると思われがちだが、それは目的が明確な場合でそれでも知りたいことの周囲を漂うようなあやふや感が残り、所詮ネットは個人の集まりでしかないことを痛感して終わることが多い。たとえば職探しなどは雑誌のウェブ版で探すわけだが、自分の希望する仕事がどのカテゴリーに属しているのか判然とせず、何度もトップページに戻る羽目に陥る。雑誌は全体を把握しやすいと思うのだが、どうだろう)。そういったことを前提とすると、小説などというナイーブなものを(つまり読んだときの精神状態やら周囲の環境がとても重要な意味を持つ媒体)発光したマットなウェブの画面上で改行や書体もままならないまま読み進めるのは非常に困難なのだが、なぜ今さらこんなことを言い出したかというと、こういうのなら面白そう。

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