20110124

22日に、東京堂書店で行われた横田順彌さんの『近代日本奇想小説史 明治篇』刊行記念トークイベントに行ってきました。
横田さんといえば、幽蘭について現代で(わたしが知る限り)唯一先行研究をされている方。
しかも前々日に、2002〜03年にかけて『日本及日本人』誌(が最近まで続いてたことに驚き。戦前の雑誌だと思っていました)に横田さんが連載されていた幽蘭の抄伝の存在を知って、次の日に国会図書館でコピーをゲットしたという個人的縁もあって、すぐに申し込んでしまいました。
イベントは、横田さんの体調が思わしくなかったために代わりに長山靖生さんと北原尚彦さんがトークをするという話だったそうですが、急遽横田さんもご来場できるようになったという経緯があったそう。
なので、ちょっとお加減が心配だったけれど、笑い声のたえないイベントで一安心。
新刊の『近代日本奇想小説史 明治篇』はお仕事の集大成ということもあって(1200ページ、12000円!)、トークはおもにSF同人誌など初期のお仕事についてが多く、不勉強ゆえ寡聞にして知らない話がたくさんでしたが、お人柄に触れることができてとても楽しく拝聴しました。
とはいえ、今回も質問はおろか話しかけるほどの勇気はなく(!)一人で行って一人で帰ってきました。
あーなんという人見知り。

それはそれとして、『日本及日本人』誌の「明治快人伝 早く生まれすぎた女傑 本荘幽蘭−抄伝−」には知らない参考文献やエピソードがいろいろあって刺激的でした。
とくに幽蘭の父、本荘一行(または本荘八太夫)についての調査は瞠目。
久留米藩で重要な地位にあったとは知っていましたが、藩の内部抗争をなだめたり、廃藩置県の際に起きた暴動を鎮圧したりと人望にも能力にも恵まれた人だったようです。
そのうえ、明治五年にはさっさと刀を捨てて物産会社を設立、東京や大阪で商工などに従事したという変わり身のはやさは、幽蘭にも見られる本荘家の血を見るようで感慨深いです。
横田さんもおっしゃるように、この人だけでも十分本になりそうです。

さて、この記事と同時に国会図書館で見つけてきたのは森実千代著『をんな旅』のなかにあった「環さんと幽蘭女史」。
「環さん」とは言わずと知れたオペラ歌手の三浦環で、森実千代曰く、マレー半島ジョホールのバトババという辺境の地に(ゴム園従事者の家族は別として)女の身で来たのは二十年間の間にこの二人だけとのこと。
ここでの幽蘭は、相変わらずの男言葉で意気盛んにふるまっていたようで、期待を裏切らないのが嬉しい限り。
その他、この日は丹いね子などいくつか記事をゲットしてきました、えへへ。

ともあれ、幽蘭については今後も時間の許す限り少しずつ調査を進めたいと思っています。

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