さて、ここで買い物懺悔をいたしたいと存じます。
万一わたくしと直接知り合いの方がこちらを見た場合でも、何とぞ何とぞ責めないでくださいませ。
人間とはかくも弱き存在なのでございます・・・。
買い物と申しましても、これはもうほぼ着物関連に絞られてまいります。
昔は敷居の高かった着物も昨今では各駅停車感覚、軽い気持ちで風潮に乗りましたところ、ただでさえ洋服より身に付けるものが多ございますうえ、価格も相応でありますゆえ、わたくしの吹けば飛ぶような通帳に大打撃を被ることになりましたことは想像に難くないと存じます。
とはいえ、五千円台以上のものには手を出さないという自分なりの規則を設けてはおります。
前置きはこのくらいにいたしまして、懺悔へとまいります。
くれぐれも、わたくしを責めることができますのは天の神さまだけだということを、肝に銘じてお読み下さいませ。
1. わたくしがヤフーオークションで最初に購入いたしました着物関連の商品は、羽織でございます。正絹で、白、桃、薄桃、若草、鴬の五色の亀甲柄で染められ、毘沙門亀甲の地模様が入っている美しいもので、まさに一目惚れでございました。幸いにして、未使用品でございます。
2. 次に購入いたしましたのも、実に羽織でございます。どうもわたくしは羽織に弱いようでございまして、特に着物が地味好みですので、羽織や帯で遊び心を出したいと思いますと、どうも目がいってしまうのでございます。こちらは素材は不確かでございますが、黒と赤で竹と菊を染め抜いたはっきりとした模様が美しい一品でございます。
3. そして長襦袢にまいります。綿製でかなり古いもののようでございますが、全体に薄桃の桜の花びらが舞い、鳶色と桃で円形に桜を意匠して配した図柄が甘やかな印象です。
4. 帯締めも揃えなくては、ということで十本組みのものを購入いたしました。朱と白の縞、浅黄に白の水玉、藤色など、締めやすい色味ばかりでございます。
5. いよいよ着物を購入いたしました。わたくしの家紋は揚羽之蝶ゆえ、着物を着るときも蝶を主題にしたいと考えておりますが、正絹製で黒地に蝶が(触覚が妙に長いので蛾に見えますが)舞う小紋は、丈がどうやっても足りないのでございます。このような間違いも初心者らしくてよろしいですわね、おほゝゝゝゝ。
6. さて次は帯でございます。刈安色に朱と銀で波型の縞が描かれた大胆な図柄でございます。かように過激なものを購入したわたくし自身の心根が今となっては理解不可能ですが、多分インスピレーションが湧いたのでございましょう。
7. さらなる帯は、もう眺めているだけで嬉しくなるほど一番気に入っている、桃色の牡丹柄の名古屋帯でございます。花の一部に刺繍が施されており、色合いといい、柄といい、文句なしの逸品でございます。
8. ふたつめの蝶のもの、帯でございます。黒地に白、朱、浅黄、水色などの蝶の簡単な輪郭が刺繍されていて、町娘風な可憐な印象です。格子などの着物に合わせたいものでございます。
9. 帯道楽がそろそろ爆発し始めまして、四つ目の帯は鬱金地に大輪の牡丹の咲いたものでございます。わたくしは牡丹柄にすこぶる弱いようで、他にもいくつか購入いたしましたので、着物も帯も羽織も牡丹づくしという着こなしが実現するかも知れませぬ。
10. 9の帯と同時に同じ出品者から孔雀の羽模様の帯も手に入れました。と申しましても、くすんだ白地に銀と山吹の糸で全体に模様が描かれているので、さして派手なものではなく、藤、藍、鬱金など、どんな色の着物にも馴染む使い勝手の良いもののひとつと思われます。
11. 次に購入したものも、ああ牡丹柄でございます。黒字に鮮やかな牡丹色(当世風で申すところのショッキングピンク)で牡丹が描かれた、通称「毒婦」帯でして、よほど地味な着物と合わせませんと危険な感じがいたします。
12. これから夏めいてくるというこの時期に着物を購入いたしましても、なかなか着る機会がございません。そこで、夏の着物といえば浴衣だと思い、現代物の浴衣を購入いたしました。下駄、帯、巾着まで付いて驚くほど安価ですので、かえって値段を言われぬほどでございますが、ひとまず練習も兼ねてたくさん着ようと目論んでおります。
13. そして、また羽織でございます。昨今で一番人気の銘仙はわたくしの趣味とは少し違うのですが、この羽織は一目で気に入ってしまいました。白地に桃、薄桃、朱、灰で菊模様や野草、川(?)が描かれています。ところどころに鴬で菊模様がなぞられていて、絶妙な色合わせでございます。鴬の着物と合わせたら映えるのではないでしょうか。
14. またまた羽織でございます。しかも牡丹柄でございます。黒字にきらきらしい銀と桃で牡丹が描かれ、極道路線ど真ん中、で「毒婦」帯と合わせたらほぼ石を投げられるとみて間違いないかと思います。が、このような組み合わせの難しいものをうまく着こなせたらきっと楽しいだろうと夢を見てしまったのでございます。
15. 「三重県の旧家から出た」と謳われていた繻子製の名古屋帯で、白地に朱や鴬で中国のような幾何模様が付いています。なかなか派手ですが、この場合は合わせる着物もある程度にぎやかなものの方がよろしいように思います。
16. そして、また羽織でございます。銘仙で、鮮やかなトルコブルーに牡丹色で絣のような模様が入っています。こちらは今人気の「アンティーク着物」の王道といった雰囲気があります。
今日現在、わたくしの懺悔はここまででございます。
ただ、先日近所の古着物屋さんに参りましたところ、わたくしの場合は丈がありますのでやはり着物は現代物できちっと仕立てたほうがよいのではないか、と助言いただき、確かにそのような気もいたしますので、正直懐具合がさらに寒々しくなる不吉な予感がいたしますところで、ひとまず筆を置きたいのでございます。
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