■わたしのバレンタイントラウマ体験〜応援団で初恋☆微熱篇〜
悲劇の舞台は1984年の2月14日、●谷区立上●中学校校舎2階の廊下のどんつきの美術室。当時中学1年生だったわたしは応援団員のO先輩が好きだったのですが、その出逢いはわたしの血管が細いという、いわば生まれた時から神が用意した素敵なオポチュニティーのおかげでした。っていうか、も少し詳しくいうと全校一斉採血が行われた時に血管が細くてなかなか採れないので最後まで残されてやっと血が採れて教室に戻ったら体育祭や陸上競技会で活動する応援団を募っていて何がなんだかわからないまま団員にされてしまって、そこで先輩と出逢ったのでした。色は浅黒く、髪は茶色で、痩せていて、ちょっとやつれたホストみたいな面影があって……今ではなにがよかったのか皆目見当もつかない先輩だったけど、まあそんなことはこの際よし。2月14日のこの日、前日に悪戦苦闘して焼いたチョコレートクッキー(いわずもがなハート型)をシャツの形の袋にラッピング(80年代に一世を風靡した)して渡す機会を虎視眈々と狙っているわたしがいました。どれくらい狙ってたかというと1、2時間目が美術でその教室に持参しているくらい狙ってました。目とかかなり鋭くて、あと紙袋は汗で相当へなってたと思います。ちなみにだけど、同じ応援団員で別な先輩を好きなYちゃんという子もいて、彼女は「チョコを自分で渡すのが恥ずかしいから女の先輩に渡してもらう」という姑息な手を使っていてこの時点ではまだ結果待ちでした。それを聞いたわたしは「自分の気持ちは自分で伝える!」と今一度決意を新たにしたのだけど、思えばいつだってこれが敗因だっけ……。さて、1、2時間目の休み時間のとき誰かが「O先輩、職員室の前にいるよ!」と知らせに来ました。職員室といえば美術室の脇です。すわ、告白、と飛び出し職員室のドアの前にいる先輩をつかまえるわたし。「これ、受け取って下さい」と袋を差し出して、返ってきた言葉は「ごめん、受け取れない」。この答えだけは予想外でした、なぜか(「ごめん」のせいかもしれない)。不意をつかれて、帰ろうと回れ右をしたとたんに目に飛び込んできたのは、美術室のドアに張り付いている黒山の人だかりでした。成りゆきを一部始終見守っていたクラスメートの顔はどれも好奇心丸出し。トボトボ戻ってきたわたしに容赦なく浴びせかけられる「どうだった?どうだった?」(うるせー見てただろうが)「なんでまだ袋持ってるの?なんで!?」(さあ、なんでだろうね)の声。いたたまれないまま授業をやり過ごしていたら、ダメ押しに給食時間の前あたりでYちゃんの吉報が届きました。「先輩受け取ってくれたって?」「キャーうそー」「よかったねー」の歓声。まさに明暗分かれる瞬間ですよ、人生において。その日5時間目は体育で、体育の始まるかなり前に誰もいない更衣室でヤケになって親友のOとクッキー食べ尽くしました。前の日に袋に入れる前に「これは形が良くないからやめよう。これは一応保留」とか選り分けてたけど、関係ねーって感じで。そんなわたしのバレンタインの思い出。そうそう、オマケとしては1ヶ月後のホワイトデーにYちゃんに「お返し」が届き、二度目の歓声に包まれてました。あ、なんか思い出して涙出てきた……なに人の顔じろじろ見てるのよ、見せ物じゃないわよ!あっち行け、バーカ、バーカ。
0 件のコメント:
コメントを投稿